「話しはそれだけ! じゃっ!」

と 言って 坂本は立ち上がった


「あっ ゴメン!飲み物も出してなかった!」


「いいって そんな事!」

坂本は 格子柄のシャツを 再び羽織った


「これから リンコちゃんと?」


「うん・・・ ハルちゃんのお見舞いに行く

・・・ハルちゃんに 何か伝える事とか

あったら 言っとくけど・・・」


オレは 一応 ハルへの言葉を探してはみたが

やはり 思い浮かばなかった


「いや・・・別になにも・・・」


坂本は 少し残念そうな顔をしたが


「分かった」


と 言って 笑顔を見せてくれた



オレたちは 階段を下りていった

オレは 玄関で 坂本が 

白いスニーカーを履くのを 見守り 

そして 見送った



でも どうして この時  

坂本の『守護霊』は 

教えてくれなかったのだろう



この後 坂本の身に起きた 


『悲惨』な


出来事を…