「ヒカル!!起きなさい!もう 晩ご飯よ!

何回呼んでも起きないんだから!

宿題くらいやってるのかと思ったら…」


毎日の聞き慣れた声に オレはまぶたを開いた


「とにとかく 着替えて食べなさい!」


母親が部屋のドアを閉めかけた


「母さん!」




ここが本当に現実なのか確かめたくなり

つい母親を呼び止めた


「…なによ」


少しむっつり顔の母親が
オレの部屋のドアを もう一度開けた


「いや ごめん…寝ぼけてた…何でもない」


やはり 現実だと安心した

母親から見たら今のオレは単なるボケ息子だ


身体を起こしたオレの太ももあたりから 


『チャリッ』


と 音がした


昼飯の釣り銭だ


その音に母親が反応した


「…あ それ!あんたに朝渡したお昼代のお釣りじゃない?!ちゃんと返してよ!
毎回見て見ぬフリすると思ったら大間違いなんだからね!分かった?」



「あぁ…お釣りね ハイハイ…」



オレは小銭をまとめ ゆっくりとベッドから立ち上がり
母親に渡した



「ところでさぁ 誰かうちに来たりしないの?
宮崎のおじさんとかさ」