オレは 全員がバスから降りた後

最後に 座席から腰をあげた


「じゃあな!明日!」


「今日 塾休むのー?」


それぞれに 会話が飛び交っている


オレは ほぼみんながバスの周囲から

方々に散らばってから 地面に足を降ろした


降りてすぐ 右手に白いジャージ・・・

日村 令子・・・


『オレを待っていたのか・・?!』


「お疲れさま」

特に笑顔ではなかった


「はい・・・ 先生こそ・・・

・・・お疲れサマでした・・・」


オレは まだ どういう顔をしていいのか

分からず 地面を見つめた


「浅川さん 徳村病院に入院してるんですって」


「えっ? 入院ですか?」


「えぇ 傷口そのものは たいしたことはなかったけど

失血が多かったのと 精神的ショックで

3日~1週間ほど入院されるそうよ」


「そう・・だったんですか・・・」


「じゃっ」


それだけ言うと 日村 令子は オレに

背中を向けて 歩き出した


「えっ? あっ 日村先生!」

オレは なぜか・・ つい呼び止めてしまった

日村 令子は ゆっくりと振り返った


「何?」


『何?って・・・』


「あの・・・・・それだけ・・・ですか?」