“Y・S”の住む場所は、“K・M”の家から十キロ程放れた場所に在った。


コンクリートの打ちっぱなし風の外観で、二階の窓辺にサボテンの鉢植えがあるのが見えた。



インターホンを押して出てきたのは、私より少し背が小さい女の子だった。


その女の子は“Y・S”の妹であることは解っていたので、私達は“Y・S”を呼ぶ様に彼女に行った。


しばらくして、



「はい………」



眼鏡をかけた、二十代半辺りの男があらわれた。


私は“K・M”にしたのと同じ嘘を言い、事件について何か思いあたる節は無いかと訊いてみた。



「※※※※※※さんは、何か心当たりはありませんか?」



そう言うと、※※※※※※はあからさまに疑いの目で私を睨んできた。



「僕を疑ってるんですか」


「違いますよ。安心して下さい」


「嘘だ」



薄笑いで呟いた※※※※※※は、目を見開き、ドアノブを握った手を震わせた。



「嘘だ。僕を疑ってるんだ。僕が犯人だって決まったんだ。僕を射殺して晒すつもりだな………」


「※※※さん、私はあなたを疑ってはいません」


「あははははは…………あはははははははは………。嘘吐き。嘘吐き。嘘吐き。嘘吐き!」



※※※※※※は叫ぶと、いきなり私の肩を掴んで家の中に引き込もうとした。



「嘘吐き!嘘吐き!嘘吐き!嘘吐き!」


「離しなさい!」


「嘘吐き!嘘吐き!嘘吐き!嘘吐き!嘘吐きは死ぬ運命なんだ!」