(くそっ、貴様らにわかってたまるか!王様から電話がかかってきているんだぞ!)
川口の頭は必死に、王様に伝えるべき、自分の思いつく限りの最高のアイデアを考え続けた。
「どうですか、川口さん?」
「・・・大阪を・・・大阪を解体してみてはいかがでしょうか」
「大阪を、解体ですか?」
「ええ。大阪は日本有数の大都市ながら抱えた負債でにっちもさっちもいかなくなっています。いまこそ大阪を解体し、自治体の負債をなかったことにするのです」
「ほほう、それはドラマチックな案です。とても有意義なご意見、ありがとうございました」
「御意!」
王様からの電話が切れた。
川口はしばらく地面に座り込んだまま呆然とした。
(俺、もしかしてとんでもないこと言っちゃったかな)
川口は西の空を見た。その方向にある都市の未来を、沈んでいく太陽に重ねながら、
(かんにん、かんにんな、大阪のひと)
と、思った。