「おおきにー!」「なんでやねーん!」「なんぼのもんじゃーい!」
人々は府庁にむかって叫んだ。あらん限りの大声で。
その頃、府庁内部の一室では、集められた『大阪』がチューブで運ばれ、そこに設置された手術台の上の人物に注ぎ込まれていた。
「覚悟はいいね、村上くん」
「はい。まさか、僕が研究の第一号実験者になろうとは」
寝かされた男は、白衣を着た、まだ若い研究者だった。
「大丈夫なのか?」
本橋はガラス越しに、向こうの部屋で『大阪』を注入されている若い研究者を心配した。
「これがはじめての実験ですので、どういう結果を生むかは神のみぞ知る、です。おそらく、村上くんは元の形をとどめることは不可能だと予測されます」
「クッ・・・すまん、俺にもっとちからがあれば・・・」