「だ、大丈夫?」

良く見ると少女は震えていた。
それも無理も無い。
12月に裸足に薄い服を着てたら誰だって寒い。

昇は慌てて自分のコートを脱ぐと、少女にかけてあげた。

「大丈夫?寒くない?」
「…あ、ありがとう」

初めて少女が顔を上げた。
同い年と思っていたが顔には幼さが残っている。
何処かから家でしたのだろうか?
昇は警察に電話するべきか迷った。

「ミレイちゃん。待った?」

昇が後ろを振り向くと一人のスーツ姿の男が立っていた。

赤い顔。
だらし無いネクタイ。

どう見ても真面目なサラリーマンには見えない。