【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




車の中は当然、会話はない。


先生は手話を使えない。


運転中だから筆談も出来ない。


私は助手席の窓から流れる景色を見ていた。


車が信号で止まった時、先生に肩を叩かれた。


先生の方を向くと、メモ帳を見せてきた。



「学校は楽しい?」



そう書かれていた。


私は笑顔で頷いた。


でも本当は楽しくない。


友達もいないし……。


保健室に行くのが楽しいくらいだから。


もし……。


先生のことを好きになったら学校が楽しくなるのかなぁ?


なんて考えた自分が恥ずかしくなった。