助手席の窓を“コンコン”と叩いた。
先生がこっちを向く。
運転席から助手席のドアを少し開けてくれた。
「乗って?」
口の動きを見て、そう言ってるのがわかる。
私はドアを開けて助手席に乗った。
爽やかな香りがする。
カーオディオからブルーの光が輝いている。
たぶん音楽かラジオでも聴いてるのかな?
先生が携帯を取り出して、どこかに電話を始めた。
彼女に電話してんのかな?
私は助手席の窓から外を眺めていた。
しばらくして先生に肩を叩かれた。
先生の方を向くと、私に携帯の画面を見せてきた。
【お母さんに電話しといたから】
さっきの電話は、うちにしてたんだ。
私は先生の携帯に【わかりました】と打った。
先生が携帯を閉じると、スーツのポケットに入れた。
そして車をゆっくり駐車場から出した。



