「はい。コーヒー」



いつの間にか咲哉がマグカップを3つ持って机にきた。


机の上にマグカップを置いて、椅子に座る咲哉。


ブラックコーヒーの俺に対して、香月のコーヒーはミルクが入ったコーヒー。


砂糖も入ってるかもな。


それを美味しそうに飲む香月。


咲哉は俺よりも香月との付き合いは長い。


だから香月がコーヒーに砂糖とミルクをどれくらい入れるのか知ってるんだろうな。


俺の知らないことまで、香月のことを知ってる咲哉に軽い嫉妬をしてしまった。


香月は生徒、俺は教師だ。


生徒に変な感情が芽生えたらいけない立場なのに……。


これから始まる個人授業という名の補習が、香月を苦しめることになるとは……。


この時は知る由もなかった――。




―瑞樹Side end―