―瑞樹Side―
「遅くなってゴメン!」
俺が保健室に入ると、咲哉と香月がこっちを見た。
「やっと来たか。何やってたんだよ?」
咲哉が手話をやりながら言う。
香月にもわかるようにしてるんだな。
「職員会議があったんだよ。朝もあったのに……。会議が好きな学校だな。ったく……」
咲哉が手話で香月に伝えている。
伝え終わった後、香月は俺の方を見て笑った。
俺は香月の隣に座る。
スーツのポケットからメモ帳とボールペンを取り出した。
「遅くなってゴメンな」
そう書いてメモ帳を見せると、香月は首を左右に振った。