「何でしょう?」
「とても言いにくいことなんですが……」
机の上で手を組んで少し俯いてる校長。
俺は校長を見下ろす。
「実は……」
そう言って顔を上げる校長。
「はい……」
「香月ハルのことで……」
「えっ?香月が……何か?」
どうして香月の名前を聞くと、こう身構えてしまうんだろう……。
「うん……。実は、新学期が始まって約1ヶ月が経ちますが……。1部の生徒と保護者から苦情がありましてね……」
それか……。
実は俺のとこにも生徒や保護者から苦情があった。
“勉強が遅れるのが心配”ということから“香月ハルとクラスを変えて欲しい”という無理なものまで。
まさか校長にも苦情を言うやつがいたとは……。