俺の手には、さっき香月と会話したメモ帳があった。 コピー用紙を切って、クリップで留めただけの簡単なメモ帳。 たった1ページの会話。 俺のクセのある汚い字と香月の女の子らしい可愛い字。 俺は指でそのページをなぞった。 香月の顔が頭に浮かぶ。 どうしてこんなにも香月が気になるんだろう……。 香月は、ただの生徒なのに……。 俺はメモ帳をスーツのポケットにしまった。 そして、車をゆっくり発進させた。