私が下駄箱を出て歩いてると、後ろから肩を叩かれた。


突然のことで体が“ビクッ”となる。


振り返ると、そこには笑顔の先生がいた。


先生の手にはメモ帳。


いらないコピー用紙を切って、上をクリップで留めただけのメモ帳。



「帰るのか?」



そのメモ帳にそう書いてあった。


私は“コクン”と頷いた。



「今日は保健室には行かないんだ……」


『どうして知ってるんですか?』



私は制服のポケットからボールペンを取り出して、先生のメモ帳にそう書いた。



「阿川先生から聞いた」


『そうですか……』



阿川先生のおしゃべり!



『今日は寄らずに帰ります』


「そっか。気をつけて帰れよ」



私は先生に会釈をして校門の外に出た。