下駄箱に行くと、吉川麗華と引き立て役の女子が何人かいた。


その中に、さっき私の机に来た子もいた。


靴を履いていた私の前に吉川麗華が立つ。


彼女を避けて行こうとすると、手で行く手を遮られた。


顔を上げて彼女を見る。



「香月さん、メモ用紙を見た?」



口の動きが早すぎて読み取れない。


私はメモ帳を出した。


1番最後のページを開く。



『もう少しゆっくり話して?』



そう書いて吉川麗華に見せた。



「メモ用紙は見た?」



吉川麗華の口がゆっくり動く。


私は“コクン”と頷いた。



「皆にも宣言したんだけど、そういう事だから……」


『お好きにどうぞ?』



そう書いてメモ帳を見せた。


やっぱり皆に宣言してたんだ。


大胆って言うか……迷惑な人。


中学生のやることじゃないよね。



「そう。じゃー、香月さんは川瀬先生は好きではないのね?」



頷く私。



「良かった」



吉川麗華はニッコリ微笑んだ。


私は吉川麗華たちの間をすり抜けて下駄箱を出た。