私はメモ帳を開いて、
『これに書いて下さい』
と、書いて先生に渡した。
先生は手をオッケーの形を作って微笑んだ。
「いつもここで食べてんの?」
先生からメモ帳が返ってきた。
『はい』
「そっか……」
そこで筆談が止まってしまった。
私はお弁当の続きを食べる。
先生は吸ってたタバコを携帯灰皿に押し付けた。
「食事中にゴメン。煙たかったろ?」
先生からメモ帳を見せられた。
私は首を左右に振る。
「美味そうな弁当だな。自分で作ってんの?」
先生がそうメモ帳に書いた。
『ありがとうございます。お母さんが作ってくれてるんです』
「いいな」
『先生は?作ってくれる人いないの?彼女とか奥さんとか……』
「俺は独身だよ。彼女は料理とかしない人だから……」
先生は独身だけど彼女はいるんだ。
まぁ、これだけ完璧な容姿だったら彼女がいて当然か……。
でも先生、何だか寂しそうな顔してる……。



