「なぁ、咲哉?」
「んー?」
「俺さぁ……。香月が耳が聞こえないって知らなかったんだよ……」
「だろうな。聴覚障害者は見た目は普通だからな」
咲哉は眉間にシワを寄せ、キーボードを叩きながら言った。
「まぁ、そうなんだけどな……」
「何かあったのか?」
咲哉の言葉に今朝のことが脳裏を過った。
「あぁ。今朝、駅でな……」
俺は駅であったことを咲哉に話した。
それから酷いことを思ってしまったこと。
それを後悔してること。
全て話した。
「それは仕方ないんじゃないか?」
俺が話終えた後、咲哉はそう言ってこっちを向いた。



