「俺の好きな人の話を聞いてくれる?」
いやだ……。
私は下を向いて、頭を左右に振った。
聞きたくないよ……。
先生の好きな人の話しなんて……。
「いいから聞いて?香月、顔を上げて?」
先生に肩をポンポンと叩かれ、私は顔を上げた。
「俺が好きな人と出会ったのは5年前で……。最初の出会いは駅だったんだ。好きな人がハンカチを落として、それを俺が拾ってあげて……」
えっ………。
「次に、その子と出会ったのは……異動先の学校だった……」
私の目に涙が溜まる。
「その子はさぁ、いつも1人で体育館裏で弁当食ってて、放課後になると保健室に行って……。その子は笑顔が可愛くて、でも泣き虫で……」
溜まった涙で先生の顔が歪んで見える。
大粒の涙がポロポロ落ちていく。
胸がドキドキする。
「その子の名前は……」
先生が私の方を向く。
「香月ハルっていうんだ……」
先生が笑顔で言った。
うぅ……。
もうダメ……。
涙が止まらないよ……。
胸のドキドキも止まらない……。



