【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




放課後――。


俺は保健室に行った。


香月が卒業してから保健室に行く機会が増えた。


ドアを開けると、香月がいるような気がするから。


こっちに振り向く笑顔の香月がいるような気がするから。



「なぁ、咲哉?香月、どうしてるかなぁ……」



俺は外を眺めながら咲哉に言った。



「ここに来たらそればっかだな」



咲哉がクスッと笑う。



「だってさぁ……」


「家に行ってみたら?」


「それはいいよ!行っても会ってくれないかもしんねぇし」



卒業式の日、病院に来なかったのはそういうことだろ?


卒業してから5年間、香月が会いに来ないのはそういうことだろ?


もし会いに行ったとして、香月に冷たくされたら……とか考えちゃうんだよ。


それが怖いんだ。


俺は、どこまでヘタレなんだよ……。



「じゃー、偶然どこかで再会するまで我慢すんだな」



偶然再会って……。


そんなことってあるのかよ。


はぁ……。


香月が卒業してから溜め息が増えたような気がするな……。




―瑞樹Side end―