「香月は、お見舞いに行かないのか?」
『……うん』
「どうして?俺、夕方に行くけど、一緒に行くか?」
『ううん、いいの……』
「香月……」
阿川先生が私を心配そうに見てる。
先生に会いたい。
会いたくて、会いたくて……しょうがないよ……。
どうにかなりそうなくらい。
胸が張り裂けそうなくらい。
先生に会いたい。
だけど、もう……。
会わないって決めたんだ。
先生への気持ちは自分の中に、しまっておくことに決めた。
先生に気持ちを伝えて、もし先生の顔から笑顔が消えたら……。
そう思うと怖いから……。
先生との楽しかった思い出は、綺麗なまま自分の中に残しておきたいから……。
だから私は先生に会わないと決めたんだ。



