【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―





「どうだ?調子は?」


『まぁまぁ、かな……』


「そっか。今日はな、香月に話があって来たんだ。メールするより直接話したかったから……」


『話って、何?』



胸が“トクン”と鳴った。


話って何だろう……。


先生のこと?



「川瀬先生な……」



やっぱり先生のことだ。


再び胸が“トクン”と鳴り“ドキドキ”し始めた。



『……うん』



なかなか、その先を言おうとしない阿川先生。


まさか……。


先生……。



「意識が戻ったよ」



笑顔の阿川先生。


えっ?


私は阿川先生を見た。


見開かれていく私の目。



『うそ……』


「うそじゃないよ」


『ホントに?』


「あぁ。お医者さんも大丈夫だって太鼓判押してくれた。年が明けたら一般病棟に移れるみたいだ」



良かった……。


先生の意識が戻って良かった。


目からポロポロ涙がこぼれる。


この涙は悲しい涙じゃなくて嬉しい涙。