阿川先生の顔の横で手をヒラヒラさせる。 「ん?」 パソコンのキーボードを打つ手を止めてこっちを向いた。 『私、帰るね』 「あぁ。気を付けて帰れよ」 『うん。あっ!コーヒーごちそうさま』 私がマグカップを持って立ち上がろうとした。 「いいよ。俺が片付けとくから」 そう言って、私の手に握られていたマグカップを取った。 『ありがとう』 「おぅ!」 『じゃーね!』 私は机の脇に置いてあった鞄を持って先生に手を振った。 「じゃーな!」 先生も手を振る。 私は保健室を後にして下駄箱に向かった。