【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―





「おいっ!瑞樹!大丈夫か?」



先生の虚ろな目が阿川先生を捉える。



「あ……咲哉……。俺、何やってんだろうな……。情けねぇな……。なぁ、咲哉?俺に……もしものことが……あったら……」


「バカなこと言うな!お前は死なない!絶対に死なない!死ぬなんて考えんじゃねぇよ!香月を悲しませるようなこと言うなよ……。今、救急車呼んでやるからな。もうちょっとだけ辛抱しろ。なっ?大丈夫だから、頑張れ!」



先生と阿川先生の会話は私には聞こえない。


阿川先生の目からポタポタと流れ落ちる涙。


阿川先生は手の甲で涙を拭い、私の頭をもう1度優しく撫でると立ち上がった。


そして携帯を取り出して電話を始めた。


気付くと私たちの周りには、さっきより大勢の人だかりが出来ていた。


電話を終えた阿川先生は、先生の元カノのとこに行って何か話してる。


阿川先生は、スーツのポケットからハンカチを取り出して、放心状態の元カノの手からハンカチ越しにナイフを取り、ハンカチでナイフを包んだ。


しばらくして、救急車と警察が来て、公園には更に更に多くの人だかりが出来ていた。