そうだ……。
救急車、呼ばなきゃ……。
さっきまでパニック状態だった私は、今は怖いくらい冷静で、制服のポケットから携帯を取り出した。
そこで私は電話が出来ないことに気付く。
耳が聞こえない私には救急車を呼ぶことも出来ない。
その間も先生のお腹からドクドクと血が流れていく。
このままだったら死んじゃう。
先生が死んじゃう。
再び頭がパニックになる。
救急車もまともに呼べない私。
このまま先生が死んでしまうのを待つしかないのか……。
いやだ……そんなのいやだ……。
その時、私の肩が“ポンポン”と叩かれた。
顔を上げると、阿川先生が立っていた。
「香月?」
阿川先生は私の目線に合わせるようにしゃがんできた。
『阿川先生!先生が……先生が……』
「大丈夫だから落ち着け!」
阿川先生は私の頭を優しく撫でてくれた。



