【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




阿川先生が2つのマグカップを持って席に戻ってきた。



「はい」



マグカップを机の上に置く。



『ありがとう』



既にミルクと砂糖が入ったコーヒー。


私はマグカップを包むように両手で持って一口飲んだ。



『保健室の先生っていいなぁ……』


「どうして?」


『だって暇そうだもん。それに眠くなったらベッドもあるしさぁ……。コーヒーも飲み放題だし』



阿川先生が飲んでたコーヒーを吐きそうになる。



「あのなぁ……。俺をそんな風に見てたわけ?」


『うん』


「保健室の先生でもやることいっぱいで忙しいんだよ。あっ!でもコーヒー飲み放題は当たってるな」


『そうなんだぁ……。何かいつも暇そうだから、そう思っちゃった』


「あのなぁ……」



阿川先生はマグカップを置くと、またパソコンの画面を見ながらキーボードを打ち始めた。