保健室のドアを開けて中に入る。
いつもの場所に座っている阿川先生。
「香月!」
阿川先生が振り向いて笑顔でそう言った。
私はいつもの椅子に座る。
「どうした?」
『用がなかったら来たらいけない?』
「誰も来たらいけないなんて言ってないだろ?」
保健室って、ポカポカしてて気持ちがいい。
眠くなりそう。
「なぁ、香月?」
『ん?』
「何か変わったことないか?」
『変わったこと?』
「誰かに後をつけられてるとか誰かに見られてるとか家の近くに変な車が止まってるとか……」
阿川先生に本当の理由を聞いた時、先生の元カノが探偵を雇って私のことを調べるかも知れないって言われた。
それから気を付けて周りを気にしながら歩いていた。
別に変わった様子はない。
探偵も人に気付かれないようにしないといけないから、もしかしたら張られてるのかもしれないけど……。
『別に変わった様子はないよ』
「そっか……」
『何か感じたら阿川先生に連絡するから大丈夫だよ』
「必ず連絡しろよ?」
『うん』



