『先生?どうして?』
「……ん?……えーっと……どうしてって?」
先生、困ってる顔してる……。
何か理由があって保健室での補習を辞めるってことだよね?
その理由は言えないってことなのかなぁ……。
「香月?」
阿川先生が私の肩をポンポンと叩いた。
私は阿川先生の方を見る。
「これから受験で忙しくなるだろ?」
『うん……』
「だから学校に残って、放課後に補習をしてたら家でする勉強の時間がなくなるだろ?それで川瀬先生が放課後に残らなくてもいい方法を考えてくれたってこと」
『そうなんだ……』
私が先生の方を見ると「そういうことだ」と言って笑った。
『わかりました。じゃー今日は私が持って帰っていいの?』
「いや、まだ何もしてないから明日渡すよ」
『はい』
阿川先生が言ったことは本当なのかな……。
ただ受験勉強のことが理由なら何で先生は困った顔をしたの?
本当は別に理由があるんじゃ……。