【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




名前を呼ぶと、元気よく返事をしてくれる生徒たち。


香月ハルの番がきた。



「香月!香月ハル!」



ゆっくりした口調で言う。


香月は教師の口の動きを見る。


読唇術とかいうやつらしい。


そう校長が教えてくれた。


名前を呼んでも立ち上がる生徒はいない。



「香月?休みか?」



もう1度ゆっくりした口調で言った。


その時……。


“ガタンッ”


椅子を引く音がした。


音のする方を見と、駅でハンカチを落とした少女が椅子から立ち上がり俺の方を見ていた。