阿川先生が運転席に乗ってエンジンをかける。 オーディオのブルーの光が点灯した。 車内が幻想的なブルーの光に包まれている。 「香月?どした?」 阿川先生が私を見て言った。 『な、何が?』 「目が真っ赤だぞ?」 『えっ?』 「泣いてたのか?」 『………』 私は俯いて何も言わなかった。 外は暗かったからわからなかったけど、でも車に乗ってエンジンをかけて、オーディオの光で私の顔が見えたから目が真っ赤なのがわかったんだ……。