咲哉の部屋の前。
呼び鈴を押すと、咲哉はすぐに出てくれた。
「上がれよ」
「あぁ」
俺は靴を脱いで上がる。
リビングに通された。
学生の頃と変わらない部屋。
俺はソファーに座った。
「頼みって何?」
キッチンに立つ咲哉が聞いてきた。
「マンションを出て来たんだ。新しい部屋が決まるまで、ここに置いてくれないか?」
「彼女と別れたのか?」
「あぁ。今日、話した。向こうは別れないって言ったけどな」
「俺は構わないよ。でも大丈夫か?」
「ありがとう。後悔はしてないし、彼女に未練はないよ」
「そっか……」
咲哉がコーヒーを出してくれた。
コーヒーを一口飲んだ。
これから俺の新しい生活が始まる。



