【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




リビングに呼び鈴の音が響いた。



「迎えに来たぞ」


「……うん」



なかなか立とうとしない星羅。



「早く行けよ」


「……うん」



星羅が椅子から立ち上がる。



「瑞樹?私は別れないから。もしそれでも別れるって言うならパパに言うからね」



何だよ。


脅しかよ。


そう言うと、俺が別れないとでも思ってんの?


星羅の考えはわかってる。


自分の親父に話して、俺の親父に言ってもらうつもりだろ?


それか自分の親父に、俺が別れたいと言ってるから、俺の親父の会社に何かしろみたいなこを言うかだな。


可愛い娘の頼みだから星羅の親父は言いなりになるだろうな。



「星羅さぁ……。もうガキじゃねぇんだから、親に頼らずに自立することを考えろよ。それに言いたかったら勝手に言ったらいいよ。星羅の親父の会社と俺の親父の会社に俺は関係ないから。周りから何を言われても自分の決めたことを取り止めるつもりはないから」



唇を噛みしめる星羅。



「一樹くんが待ってるぞ。早く行けよ」



星羅は唇を噛みしたまま荷物を持ってマンションを出て行った。