【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―





「あぁ、それか……」



俺は花火大会のことを全て話した。


話し終えた後、咲哉は「そっか……」と言ったきりだった。



「悪いな、咲哉。せっかくチャンスをもらったのに……」


「いや、気にするな。教師として言えなかったお前の気持ちもわかるから。それにチャンスはまたあるかもしんねぇしな」



咲哉は笑いながら言った。



「なぁ、咲哉?」


「ん?」


「香月の好きなヤツって知ってる?」


「はっ?」


「いや、ほら、咲哉は香月と付き合い長いし仲もいいしさ、だから香月の好きなヤツ知ってんのかなぁって……」


「案外、近くにいるかもな。香月の好きなヤツ」



咲哉はそう言ってクスクス笑ってる。


案外、近くに……。


香月の好きなヤツはこの学校にいるってことか?


やっぱ咲哉か?


それとも生徒の中か?


あぁ!もう!わかんねぇや。