阿川先生が先生に何か耳打ちしてる。
何を言ってんだろ……。
先生は凄い勢いで首を左右に振ってるし。
でも阿川先生は笑いながら何か言ってる。
“大丈夫”
そう、先生に言ってたような……。
「香月?」
先生に肩を叩かれて、体が“ビクッ”となった。
「あ、あのさ……もし、良かったら……俺と花火大会に行かない?」
えっ?
どうしよ……。
“うん”って言いたい。
でも、そう言ってもいいの?
「やっぱダメだよな。ゴメンな……」
先生は笑いながらそう言った。
ダメじゃないよ。
先生と一緒に行きたい。
メモ帳……。
私はスカートのポケットに手を入れた。
あっ、メモ帳は先生が持ってるんだ。
私はプリントを裏返して、
『ダメじゃないですよ』
そう書いて先生に見せた。



