【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―





「咲哉?香月の居場所がわかったよ。体育館倉庫の鍵を持って来てくれ。あぁ……。頼んだぞ」



俺は携帯をポケットにしまった。


しばらくして息を切らした咲哉が体育館倉庫の鍵を持って来た。



「瑞樹、香月が体育館倉庫にいるのか?」


「あぁ」


「どうして?」


「俺にもわからない」



俺は咲哉から鍵を受け取ると、急いで体育館倉庫に行った。


部活が終わってるのか、体育館の中は誰もいなかった。


体育館は部活の片付けをしないで、そのままの状態だった。


部活の顧問が出張でいないことをいいことに片付けもして帰らないなんてな。


それか吉川が体育館倉庫を開けるなと言ったのかもしれない。


吉川なら言いそうだな。


体育館倉庫のドアの前に何か落ちてるのが見えた。


あっ……。


香月のメモ帳……。


どうしてここに落ちてるんだ?


俺はそれを拾った。


中を捲って見た。


俺との会話が書かれたメモ帳。


でもマジックでグチャグチャに塗り潰されている。


何も書かれてないページには“裏切者!”とか“あんたんかいなくなればいい!”とか書いてあった。


吉川が書いたのか?



「酷いな……」



後ろから見てた咲哉が言った。