体育館裏には誰もいなかった。
はぁ……いない……。
香月………。
香月の笑顔が頭に浮かんだ。
咲哉からも電話はない。
俺はとりあえず保健室に戻ることにした。
「あれ?先生、何してるんっすか?」
1人の男子生徒が話しかけてきた。
「ん?」
振り返ると、部活の帰りらしい男子生徒が立っていた。
こいつは俺のクラスの原西(ハラニシ)だ。
「原西!香月、見なかったか?」
「香月?見てないけど……」
「そっか……」
「香月がどうかしたんですか?」
「ちょっとな。気を付けて帰れよ」
俺は原西の肩をポンと叩いた。



