腕を引っ張られて体育館の中に入った。
体育館はバスケ部とバレー部が使っている。
顧問の姿が見えない。
確か、バスケ部の顧問もバレー部の顧問も出張でいないんだ……。
顧問の先生がいたら助けてもらえるのに……何でこの日に限って……。
吉川麗華はそれを知ってて私を体育館に連れ込んだんだ。
腕を引っ張られてる私。
それをニヤニヤしながら見ている吉川麗華。
部活をしている生徒もチラチラ見ている。
でも吉川麗華が怖いのか誰も助けてくれない。
それは女子も男子も。
そのまま腕を引っ張られて体育館倉庫の中に入れられた。
暗くて埃臭い体育館倉庫。
腕を組んで仁王立ちの吉川麗華。
取り巻きにアゴで合図をする。
私の腕は解放された。
1人の取り巻きが私の体を押す。
その衝撃で倒れてしまった。
昨日、ケガをした左足に痛みが走った。
「裏切った罰よ!そこで頭を冷やすのね」
そう言って、吉川麗華は取り巻きたちと出て言った。
倉庫の中は真っ暗になる。
窓ひとつない倉庫。
私は痛む足を引きずりながらドアのとこに行き、ドアノブを回した。
鍵がかかってる。
開かない。
どうしよう……。
ドアを“バンバン”叩いてみた。
手が痛いだけで、ドアはうんともすんともいわない。
はぁ……。
私はその場に膝を抱えて座った。



