「あのなぁ……吉川……」


「何ですか?」


「俺は別に香月を特別扱いしてるわけじゃないぞ?」



俺は溜め息混じりに言った。



「でも!」


「なぁ、吉川?香月のせいで授業が遅れるって苦情を言ったんだろ?」



俺は静かに言った。


吉川は黙って俺を見ている。



「だから、お前たちの望み通り授業を普通に戻した。違うか?」


「………」



何も言い返せないで、ただ立ってるだけの吉川。



「授業を普通に戻すと、今度は香月が困るんだ。香月が授業についていけなくなるんだよ。だからその分、俺は放課後に補習してるだけだ」



吉川は唇を噛みしめて、俺の方を見ている。