「美味しい?」
先生の質問に頷く。
「良かった。俺が小さい頃に泣いたら展望台に連れて行ってくれて、帰りには必ずここのジェラートを食べてたんだ。親父がミルクとイチゴのジェラートを買って来てくれてさぁ……」
先生はそこまで言うと、ジェラートを一口食べた。
「展望台で泣き止んで、帰りにジェラートを食べて笑って、ジェラートを食べた後には、何で泣いてたか忘れるくらいだったよ。そう考えたら俺って、単純な子供だったと思わねぇ?親父もそれがわかってたのかもな」
先生が笑いながら言った。
私は膝の上にメモ帳を出した。
『じゃー、私は単純かもしれないですね』
そう書いて先生に見せた。
「べ、別に、香月が単純とは言ってないだろ?」
先生、慌ててる。
そんな先生を見て笑ってしまった。