【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




帰りの車の中。


先生との会話はない。


私は窓の外を眺めながらさっきのことを考えていた。



“俺と彼女の間には愛はない”



先生は笑いながらそう言った。


でも目の奥は悲しそうだった。


先生と彼女との間で何があったのか、どうして愛がなくなってしまったのか私にはわからない。


だけど聞いた時に、私の目に自然に涙があふれていた。


先生が時折見せる悲しい顔の訳がわかった気がしたから……。


まだ体に先生の温もりや香りが残っている。


それだけで胸が“ドキドキ”してしまう。


先生に抱きしめられた時もドキドキしてて、胸が張り裂けそうなくらい痛かった。


抵抗すれば出来たはずなのに……。


でも出来なかった。


先生はどうして私を抱きしめてくれたの?


“泣かないで”と先生は言った。


同情?


私が泣いたから?


わからないよ………。