気付くと俺は、香月の体を抱きしめていた。
ギュッと強く。
ポキンと折れてしまいそうな華奢な体。
俺は香月の長い綺麗な髪を撫でた。
香月が顔を上げる。
驚いた顔をして、目にいっぱい涙を溜めて俺を見ている。
「泣かないで?」
そう呟くと、香月の頬に手をやり涙を拭った。
“ビクン”と反応する体。
俺は香月を見て微笑んだ。
香月は嫌がりもしないで俺の腕の中にいる。
なぁ、香月?
俺の胸の“ドキドキ”がキミの体に伝わってる?
今、凄くドキドキしてるんだ。
痛いくらいにドキドキしてるんだ。
なぁ、香月?
俺はキミを……。
生徒であるキミを好きになってしまったんだ――……。
―瑞樹Side end―



