先生が私の前で手をヒラヒラさせた。 顔を上げて先生を見る。 優しい笑顔の先生がいた。 私の心臓は再び激しく鳴り始めた。 “ドキドキ”という胸の音が、耳が聞こえない私にも聴こえそうなくらい。 「ここで待ってて?」 えっ? 「30分くらいしたら戻って来るから」 どういうこと? 先生は私をベンチに座らせた。 「必ず戻って来るから待ってろよ」 先生は笑顔でそう言うと、公園の出入口の方へ走って行った。