【先生×生徒シリーズ】壊れるほど抱きしめて―先生の声を聴かせて―




私は先生が座っているベンチの前に立った。


先生がゆっくり顔を上げていく。


私を見た先生は目を見開いて驚いたような顔をした。



「香月……。こんなとこで何してるんだ?」



私は鞄からメモ帳とボールペンを出した。



『お散歩です。先生こそここで何してたんですか?』



私はそう書いたメモ帳を先生に見せた。



「考えごと」



先生からそう返事がきた。


先生の顔、凄く悲しそう……。



『先生?おうちに帰ってないんですか?』


「どうして?」


『休みの日なのにスーツ着てるから……』



先生は自分の体に目を落とした。


そして視線を私の方に戻すと首を縦に振った。