「でも、そんなことを聞いてどうしたんだ?」
咲哉はそう言うと、3杯目に注文したウイスキーの水割りを一口飲んだ。
「今日、香月の家に行く時に、香月に学校は楽しいか聞いてみたんだよ」
「それで?」
「そしたら“うん”って頷いたんだよ。
それから香月の母親に補習をする理由を話した時、泣きそうな顔の母親に心配しないでって笑顔で言ってたんだ……。
俺、香月は皆が心配しないように無理してんじゃないかって思うんだよ。
本当は学校も楽しくないのにさ」
「そっか……」
咲哉は一点を見つめたままそう呟いた。
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