「瑞樹?行って来るね」 星羅はそう言って、俺の唇に軽くキスをした。 少し慌ててるのがわかる。 なぁ、星羅。 もう俺のこと好きじゃないだろ? 愛してないだろ? だって俺は、お前が大好きな金は持ってないからな。 星羅が寝室を出た。 手の甲で唇を拭う。 急に笑いが込み上げてきた。 俺の笑い声が寝室に響き渡る。 「はぁ……」 溜め息が出た。 天井を見つめる。 虚しい夜。 俺の心は空っぽだ。 その時、なぜか香月の笑顔が頭に浮かんだ――……。