「なぁ、星羅?」
「ん?」
「俺と付き合ってて楽しいか?」
「どうしたの急に?」
星羅は俺が体を倒してる方と反対側からベッドに上がって来て俺の顔を見下ろした。
「俺はさ、安月給な公務員だし。星羅はこんな俺と付き合ってて楽しいのかなぁと思ってさ。友達に俺の仕事を言うの恥ずかしくない?」
「瑞樹はいずれ、お父様の会社を継ぐんでしょ?」
星羅の言葉で確信した。
確かに俺の親父は会社を経営している。
でも俺には継ぐ意思はない。
教師になった時、親父にそう伝えた。
「いや、俺はこのまま教師を続けるつもりだけど?親父の会社を継ぐのは弟の瑞穂(ミズホ)」
星羅が一瞬“えっ?”って顔をした。
あぁ、やっぱり……。
星羅は俺じゃなく、金が目当てだったんだ……。
それはわかってた。
でも、どこかで俺自身を愛してくれてると思ってた。
俺の勘違いだったんだな。
少しでも期待してた俺がバカだった。



