…………んっ。


ベッドの中の私の体が揺れる。


その揺れで目が覚めた私。


カーテンが開けられた窓から太陽の光りが射し込んで、眩しさに思わず目を細めた。



『あ、おはよう……』


「おはよう。早く用意しなさいよ」


『うん』



お母さんとの会話に言葉はない。


全て手話で会話する。


そう――。


私は生まれつき耳が聞こえない。


先天性聴覚障害者。


私は音のない世界で生きている。


これが私にとって当たり前のこと。


だから「耳が聞こえたら……」なんて考えたことなかった。


これからも、そう思うことはないと思ってた……。


あの人に出会うまでは――……。