……凄く気持ちいい。

春樹さんに抱き締められると、不思議なくらい落ち着く。


これが、“好き”っていう感情が招くものなんだろうか……。


「涼?」

掠れた小さな声に呼び掛けられ、いつの間にか閉じかけていた瞼をパチリと開いた。


「眠いのか?」

「……ん。ちょっとだけ……」

そう答えて少し体を離して顔を上げると、視界いっぱいに春樹さんの綺麗な顔が映し出される。


今にも……キス出来そうな距離。


頭の中でそう思った。

思いながら春樹さんを見つめてた。


何故か逸らす事の出来ない視線の先で、春樹さんの唇がゆっくりと動く。


「約束……だからな」

動いた唇はそんな言葉を紡ぎだし、少し残念そうな笑顔を作った。