夜七時半。
待ち合わせの時間まで三十分。
帰宅してお風呂を済ませた私は、行くべきかどうかギリギリまで悩んだ。
悩んだというか、どちらかと言えば断ろうっていう気持ちの方が強くて、どんな言い訳をしようか考えてた。
だけど、ここでドタキャンしてしまったら来週の出勤の時に気まずくなるって、その事に気が付いた私は渋々覚悟を決め、少し早めに待ち合わせ場所に向かった。
十五分ほど歩いて最寄り駅に着くと、緊張がピークに達して足が小刻みに震え始める。
……しっかりしろ、自分。
同じ台詞を何度も心の中で繰り返しながら、帰宅ラッシュで混雑する駅前のロータリーを、人の流れに逆らって突き進んだ。
タクシー乗り場の前にあるカフェを遠目に確認すると、春樹さんの姿はまだなくて。
……良かった。先に着いたんだ。
そう思って歩く速度を緩めた直後、