日直の号令が掛かると、私は鞄を持ってすぐさま教室から飛び出した。


後ろから「涼ちゃん!」って叫ぶミサキの声が追いかけてきたけど、わざと聞こえないふりをした。


……ミサキのすぐ後に、「やめときな」って言うリンの声が聞こえたから。


リンは少し私に似てる。

その所為で今まで何回もぶつかり合ってきた。


だけど、私とリンの関係は“喧嘩するほど仲が良い”ってわけでもなくて、お互い本音で話した事もないし、隠し事だらけだった。


最初に馴れ合いを拒んだのは私。


“友達”なんて、学校を卒業すれば会う機会も減るんだから、仲良くなっても意味がないと思う。


――校門を抜けた辺りで携帯が震え、中を確認するとミサキからのメールだった。


『涼ちゃんごめんね。来週はいっぱい話そうね』

……何でか分からないけど、胸がチクチクした。