一秒が一分――いや、十分くらいに感じられて、携帯を握り締める手にグッと力が入った。


『もし空いてたらさ、』

給食時間の終了を告げる鐘が、近くで鳴っているはずなのに遠く聞こえた。


――そして。


『今日の夜、二人きりで会えないかな?』


春樹さんの声だけが私の脳に鮮明に響いた。